|
スケート・シーズンが終わり、早くも1ヵ月。ここで、2006〜2007シーズンを自分なりに振り返ってみようと思う。
五輪後のシーズンということで、経験、実績のある選手よりも、まずそういった選手たちを脅かす存在、バンクーバーでのホープとなりうる若手が出てくるかどうかに注目をしていた。 その期待に応えてくれたのが小平奈緒(信州大学)だった。初戦のなる全日本距離別で500bで3位、1000bで初優勝し、一躍注目を集める存在となった。 その後、日本代表入りし、順調に実績を重ねる。シーズン後半に入り、多少失速した感もあるが、五輪経験を持つ中堅以上の選手たちを脅かす存在になれたことは確かだろう。 特に、500bよりも1000bに強いことから、今後、同じく1000bを得意とする吉井小百合(日本電産サンキョー)のライバルとなることを期待したい。 男女ともに言えることだが、日本の短距離陣は1000bが弱いだけに、この2人で、1000bも世界のトップ・レベルまで引き上げて欲しいと願っている。
若手以外で注目していたのは、大菅小百合だ。 ソルトレークシティ、トリノと2つの五輪を経験し、両大会ともメダルの期待がかかったが、及ばずに終わった彼女が、新しいシーズンをどのように向かえ、どのように戦うのか? 五輪終了後、まず決意したのは高校卒業以来在籍していた日本電産サンキョーを離れることだった。さらに、そこから現役を続けるべきか、引退するべきか、という迷いがあったように思う。特に引退に関しては、同じチームで共に汗を流してきた実妹・淳子の引退も大きく影響していただろう。 しかし、周囲からの現役続行を望む声に、彼女自身も続行を決意。自分1人となり、サポートしてくれるスポンサー探しに奔走した。そこに手を差し伸べたのが、現在所属する大和ハウスである。しかし、大和ハウスはスケート部を持つ企業ではない。最初の壁は、トレーニング相手が居ないことだった。 そして、一番心配だったのが、レースを戦うためのモチベーションである。2001年の秋から彼女を見守ってきた自分には、ソルトレークシティ五輪での失敗レースから、どれだけ彼女がトリノ五輪でのメダル獲得に賭けて来たのかが良くわかっていた。なので、トリノ五輪を終えた新たなシーズンは、レース自体も手探りの状態に陥るのではないかと懸念していた。 しかし、自転車で出場した夏の五輪を含め、3つの五輪を経験してきた彼女の精神力は、自分が思っていた以上のものであった。開幕戦の全日本距離別500b優勝にはじまり、一度も調子を落とすことなく、最終戦となった世界距離別選手権500bでは、岡崎朋美(富士急行)が持っていた日本記録を、再び自分のものにした。 現在26歳。次のバンクーバーは29歳で迎えるが、前出の岡崎が示すとおり、まだまだピークを越す年齢ではない。 「三度目の正直」。 過去2大会、どうしても欲しくて、手に入らなかった五輪のメダルを、必ずや手に入れるために、新しい一歩を確実に踏み出したシーズンだった。 まだまだ、成長は終わらない、戦いは終わらない。 そんな姿を示してくれた大菅小百合に、来シーズン以降も期待したい。
|